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リアリティ・イン・アドバタイジング

リアリティ・イン・アドバタイジング 4章 浸透率

 では、そろそろ我々のリサーチ結果を披露しよう。

 まずは下のチャートを見て欲しい。78の棒で構成される極めて単純化されたチャートだが、プロの広告マンに多くの示唆を与えるチャートだ。

 それぞれの棒はそれぞれの広告キャンペーンによって得られた浸透率を示している。

 ある広告は全消費者の78%の脳裏にメッセージを刻み込むことに成功し、ある広告はわずか1%の人にしか刻みこめていない。

 それぞれの棒にパーセンテージは書きこんでいないが、一見しただけでかなり大きな隔たりがあることに気づくだろう。

 ある広告は50%、60%、70%と高い数値を獲得し、他方ではわずか4%、5%、6%しか得られていない。

 これは、単に78本の棒で構成されただけのチャートなのか?

 答えはノーだ。実はここから広告の真理が始まる。

 このチャートは、冷たい黒と白とに彩られた、アメリカ合衆国トップ78のパッケージ製品の広告の成績結果である。

 過去20年においてこれらの会社は実に何十億ドルもの巨額の広告予算を投じ、これらの浸透率を獲得してきた。

 無数の広告代理店、数多くの優秀な広告マンが、これらの広告キャンペーンに取り組み、アメリカの1億8千万人を相手に仕事をしてきた。

 石鹸、タバコ、ケーキミックス、キャンディー、シリアル、ソフトドリンク、冷凍パイ、シェービングクリーム、胃薬、ビール、歯磨き粉、マーガリン、フルーツジュース等々の広告キャンペーンだ。

 これほどの規模と範囲に及んだ調査が行われたのは、アメリカの広告史上初めてのことだろう。そして、この調査結果の公表は反発と非難を生じさせるであろう。

 なぜなら、広告主である大企業の多くが、これまでに投じてきた巨額のコストに対して、いかにわずかの結果しか得られていないことにショックを受けるであろうからだ。

 しかしながら、本当の真実は棒の中には含まれていない。

 本当の真実は棒の背後に存在する。ひとつのブランドを別のブランドと比較して検証し、それぞれの結果と投じられたコストを分析するのだ。

 そして、我々は再び目を覚ます。

 そして、広告の真実が姿を現し始める。

 広告の世界で古くから使われている高慢なお決まりのセリフも姿を現し始めるが、それはあくまでもお決まりのセリフとして現れ、最終的には現実から完全に分離される。

 我々が蓄積した何百もの事例、多分本書よりももっと分厚い本にも収まりきれないような事例から、例として以下の四つの事例をご紹介しよう。

(事例1)

 ある広告主は年間200万ドルの広告予算を投下した。その結果、5%の浸透率しか得られなかった。

 一方、その会社の最大のライバル会社は、その会社が最大である理由とも思われるが、より少ない時間と広告予算を使って実に60%もの浸透率を得た。

 つまり、前社より1200%多くの消費者の頭の中にメッセージを刻み込むのに成功した。

(事例2)

 ある二つの広告主はそれぞれ年間1000万ドルの広告予算を投下し、途中広告キャンペーンのメッセージを変更した。

 1年後、そのうちの一社は新しいメッセージによって44%もの浸透率を獲得した。

 一方、同じ予算を投下したにもかかわらず、もう一社はわずか1.8%の浸透率しか獲得できなかった。

 これは、浸透率において2200%もの違いに相当する。しかも、まったく同じ予算においてだ。後社が犯したブランド上の失敗は、結果的にはブランドがほぼ消滅する事態へとつながった。

(事例3)

 ある食品メーカーは、広告キャンペーンで非常に強力なストーリーを展開していた。

 しかし、この広告主はその広告キャンペーンの中でドラマチックなデバイスの映像を使用したことでキャンペーンのメッセージを無意味にし、かつコピーをも消失させてしまった。

 消費者のわずか9%しかコピーを記憶していない一方で、実に38%もの消費者が映像の中で使われていたデバイス、何の広告メッセージも載っていないデバイスを記憶していた。

(事例4)

 ある広告主はかつてアメリカ史上最高の浸透率を獲得していた。彼は広告のストーリーを変更することはなかったが、ある時ストーリーの伝え方を変更した。

 その結果、彼が多額のコストを投じて獲得した浸透率の半分を失うことになった。しかし、彼はその事実を知らない。なぜなら、彼はそうした数字を測定するすべを持たないからだ。

 広告の歴史は、我々が得たチャートのように常に乱高下する連続性で構成されている。我々のリサーチのすべての結果が明らかにされる頃には別の本がまとめられることと思うが、いずれにせよ、この長年のリサーチにおいて様々なキャンペーンが分析され、その内容が解明されると、多くの事実が史上初めて明らかにされることになるだろう。

 どのようなタイプの広告がメッセージを最適に伝えるか?

 広告主がメッセージを頻繁に変更しすぎると何が起きるのか?

 ひとつの広告キャンペーンはいつ色あせるのか?

 消費者は通常、どの位の数のキャンペーンを記憶していられるのか?

 キャンペーンの寿命はどの位か?

 キャンペーンを駄目にする一般的な、知られていないミスとは何か?

 あなたのライバル会社の浸透率を下げるにはどうすればいいのか?

 広告メッセージをより低いコストで伝達する手段は何か?

 ブランド・イメージ広告はどの位効果的なのか?

 500万人の人に20回メッセージを送りつけることは、5000万人の人に2回メッセージを送りつけるよりも効果的なのか?

 これらの疑問、さらに他の多くの疑問については、本書にその答えが記されている。

 浸透率とは、いずれにせよ、広告メッセージを各家庭に確実に届けることに他ならない。より重要なことは「どのメッセージを一番届けたいのか?」である 。

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2 コメント

  1. 食べる純炭きよらの樋口です。
    いつも示唆に富んだ記事をありがとうございます。
    弊社の商品は訴求ポイントが多岐にわたり
    常に
    どのメッセージを一番届けたいのか?
    を自問自答しております。

    • admin

      樋口さん、コメントありがとうございます。本書の後の章でも出てきますが、消費者に届けたいメッセージは出来るだけシンプルに、かつユニークで魅力的にする必要があります。とは言うものの、それが難しいから悩んでしまうのですよね。単にコピーライティングの技術のみならず、製品全体のストーリーを凝縮して盛り込ませられればなおよしだと思います。

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